歯列矯正治療とは、矯正装置を使って歯をゆっくりと動かして、歯並びを整えていく治療です。矯正治療には3つの代表的な治療方法があります。

表側矯正治療(唇側矯正しんそくきょうせい)

「矯正治療」と言えばみなさんが初めに想像されるような、オーソドックスな処置です。

歯の表面に「ブラケット」という装置を取り付け、そこにワイヤーやゴムを使用して歯並びを少しずつ整えていきます。

ギラギラとしたイメージをお持ちかもしれませんが、近年は装置の種類や色などさまざまなタイプが増え、ライフスタイルによって装置を選ぶことも可能です。

裏側矯正治療(舌側矯正ぜっそくきょうせい)

表側矯正治療と同様の「ブラケット」と呼ばれる矯正装置を、歯の裏側に装着する矯正治療の方法です。

マウスピース型矯正

透明のプラスチックのマウスピース(インビザライン)を装着し矯正する方法です。色も透明なのでほとんど目立ちませんし、人前や食事中などでは取り外し可能です。

歯磨きなど歯のお手入れもマウスピースなので取り外して行う事ができ、食べ物が矯正装置につまったりといった事がないため、衛生的にも安心です。

また金属アレルギーで矯正治療をあきらめていた方にもご使用いただけます。

歯列矯正治療の種類について、さらに詳しくみる

あるある勘違い– 矯正治療の種類編 –

インプラントは矯正治療じゃない!?

インプラント治療とは、虫歯や歯周病、事故などで歯根がない部分にインプラント体と言われる人工歯根を埋め、その上に人工歯を装着する治療法です。従来の入れ歯やブリッジなどに比べ安定性と耐久性が高いため、近年、利用率が高まっています。

なぜ勘違いされやすいのかというと、矯正治療方法のひとつとして、「歯科矯正用アンカースクリュー」と言われる矯正治療用につくられたインプラントを固定源として用いた治療が、インプラント矯正などと呼ばれることがあるからだと思います。

一般的によく耳にする「インプラント治療」は歯を動かすわけではないので矯正治療ではありません。注意しましょう。

クイック矯正は矯正治療じゃない!?

クイック矯正は、「セラミック矯正」「差し歯を使った矯正」「補綴(ほてつ)矯正」などと書かれていることもあるかと思います。
歯根がある歯に、セラミックのつめ物・かぶせ物を用いて「歯の色」「歯の形」「歯並び」を改善するための治療です。

インプラント治療と同様に歯を動かすわけではないので、クイック矯正も矯正治療ではなく審美歯科治療になります。

セラミック矯正をされた方が後悔することは、セラミックをかぶせるために健康な歯を削ってしまうこと。
そして自分の歯と同様に、セラミックは一生ものではなくメンテナンスが必要です。もしセラミックが劣化して再度かぶせるときには、また歯を削る可能性があります。

歯をゆっくり動かす歯列矯正に比べると、セラミック矯正は短期間でできるため、早く歯並びを綺麗にしたい芸能人など、人に見られる職業をされている方がセラミック矯正をおこなって「歯並びを治しました」と言われているのを聞くと、「早く綺麗な歯並びを手に入れる治療=矯正治療」と勘違いしてしまうのかもしれません。

矯正治療が終わったのにまだ装置つけないといけないの!?

表側矯正治療や裏側矯正治療、マウスピース型矯正いずれの治療方法でも、歯並びが整い矯正装置を取り外した直後、そのまま放っておくと歯は動いてしまいます。これを「後戻りした」などと言われることがあります。

完全に元のように戻ることはないのですが、生えていた位置からゆっくり時間をかけて動いてきた歯は、治療直後には元の位置に引っ張られやすい状態です。動かしてきたのと同じくらいの時間は、新しい位置を覚えてもらうために止めておく必要があります。

この「後戻り」を防ぎ、綺麗な歯並びを維持するために使用する装置が「リテーナー」です。

「矯正治療の期間は半年~1年」とウェブサイトに書いているところも多くて勘違いされやすいのですが、矯正治療のあとにはリテーナーを装着する保定期間が必要になりますので注意してくださいね。